ここに来るのは、三度目位になるのかな。ここはラオスの首都、ヴィエンチャン。相変わらず、首都であっても、静けさと穏やかさに包まれている。もしかすると,世界で最も静かな首都かもしれない。
メインストリートは道幅も広く、緑が多いのがいい。あちこちに,南国ならではの花が咲き乱れている。人々もゆったりと動き,歩き,“苦楽一如”のごとく、ごく自然に、それぞれが楽しんでいるように見える。
人が自然からはなれれば、心は、頑になってしまう。頑(かたくな)とは、不自然なことなのだ。生きている間は、よく生きたいと思う。そう思うと、自然以上に大切なものはないように思う。特に、多くの人が居住し働く、大きな街なればなおさらのこと。
心が曇ったら、青い空、輝く星、太陽や月を観る。緑や花、水の流れを観る。人も自然の一部、全てはかかわり合っている。心はやがて晴れ渡ってくる。
町をゆったりと散歩しているうちに,まるで、翼もないのに,宙を飛んでいるかの如く、足なくして,歩くかの如く,そして,無心で考えるが如く……。
さすれば、体も心も軽い。
無心で動いている。ラオスの空は高く、そよ風は千金の値にも感じてしまう。あちこち,歩いたり,店をのぞいたり,顔見知りにあったり、ちょっと市場でスナックをつまんだり… たわいもないことが,実に楽しい。
一番自然で、身直なものと言えば、呼吸と水、熟睡、そして食事。とにかく、これらの自然がなくては、何者も生きては行けないが、とりわけ、食事は人生の楽しみである。只,健康上は、腹八分目、七分目ぐらいでおさえ、少々、空腹感がよく出てくるようにした方が,健康上も具合がいいようである。それゆえ、逆説的だが、食べることをとても大事にしている。
ラオスには、美味しいものがある。タイやヴェトナムの料理に近いものもあるのは、隣国である以上、当然かもしれない。
日が沈む頃になると、満月を国のシンボルにしている首都は、活気を帯びてくる。
ビールと食事の時間だからだ。
それでは、まず、ラーブから始めようか。 ラーブはひき肉とスパイシーな野菜、レモングラス、パクチといった香草を使ったラオスを代表する料理だ。タイにもパットガパオという,バジル、パクチ、ニンニク、しょうが、唐辛子とひき肉を炒めたうまい料理がある。それを飯にかけて,ぶっかけ飯にして食べる。
それに似ているが,味はもうひと味マイルドで、デリケートだ。タイ風に言えば、“パットガパオ・ライト”ってところだろうか。
ひき肉の他に,魚や生の肉も使われる。カオニャオ(餅米)と,たっぷりの生野菜、そしてラーブ、ひき肉料理を一緒にして食べる。手でつまんで食べてもいい。
ライムをしぼるのは当然だ。アジア料理は,気候のせいもあるが、スパイスが利いている。そして,生野菜をたくさん食べるのが特徴だ。それと,餅米を良く食べる。それがここの生活に合うようだ。しかも健康的で,力もある。
一寸,スパイシーで乙な味がする。そしていつか病みつきになってしまう。カレーとは一寸違う旨味があって、日本でも流行りそう。
メコン川近くの、「ナーン・カンバン」という店が美味かった。 次は、麺類。
「チャンタ」という日本レストランとゲストハウスをやっている店が美味しかった。
麺もスープも絶妙な味付け。ここは日本人経営なので、さっぱりとした味付けにこくがあって微妙に美味しい。
麺は米の麺、ビーフンなので、タイのセンミー・ナーム、ヴェトナムのフォーにちかい。
昔の、ロックバンドの名前ではないが、「フー」という。ヴェトナムの影響がある事は,名称からも伺い知る事が出来る。
鶏ガラの美味い出汁を使ったスープに、野菜と、鶏肉、血合いをゼラチンで固めたものがトッピングされている。もちろん、ライム付きだ。刻みネギやパクチ,もやしもたっぷりついてくる。
血あいに関しては好きずきもあろうが、いやなら、入れないで作ってもらえばいい。只、栄養価はたっぷりだ。
日本人経営の店なので、いろいろ注文に応じてくれる。
「チャンタ」は以前紹介した,コーヒーのうまい“カフェ・インドシーヌ”の近くの並びに在る(前記事「カフェ・インドシーヌ」参照)。カフェ・インドシーヌには、未だに入り口の古代のナーガ(龍)の木彫は相変わらずであった。そして,新たにヴェトナム料理も始めたようだった。
今回は、カフェ・ラオとバゲットをいただいた。
「チャンタ」は昼時には、よく行った店である。値段も80円ほどで,安いのが嬉しい。
味がさっぱりしているので、スナック代わりや、朝や昼に食べてもいい。
一般に,インドシナ半島では,人々は一度にたくさん食べない。これも経験に基づいた伝統であろうか、それゆえ,量はそれほど多くはない。タイでは,一日に,5〜6回も食べる人もいる。一度の量が少ないからだ。その辺りが、私も気に入っている。一度にたくさん食べるよりは,体に無理がないのだろう。
パクチ(香菜)の代わりに、ネギ、三つ葉、みょうがなどを使ったとしても,日本では、鳥のだしがここまでは美味くないような気がする。アジアは鶏肉が美味い。こんな美味いラーメン、日本では食べられないかもしれない。それほど美味い。
他にも、ソーセージ、ビンカイ(焼き鳥)、辛い魚のスープ、トムヤム、ラオス風のチャーハンや焼きそば、あんかけ麺(ラートナー)やあんかけ丼(ラオ風中華丼)、生春巻き、ヴァラエティーに富んだサラダ、ソムタム、野菜や肉を煮込んだもの、まだ食べた事はないが,ラオ風のみその料理もあると聞く。
フランスパンのバゲットは、どの店も本当に美味い。朝はこれと、カフェ・ラオが美味い。
タイでもおなじみの、かき氷とみつ豆をあわせたもの、餅米やフルーツのお菓子、甘いものにも事欠かない。アジアは美味い。
オーヴァー(無線用語で、どうぞ、という意味)。