スパー! いい音だ。サウンズ・グッド! トーンがいい。
元々の語源は,「馬が蹄で蹴る事」だそうだが、いつしか、馬の腹を小突いて、馬に信号や刺激を伝えるコミュニュケーションの道具となった。
靴の踵の所につけられる回転する歯車の事だ。西部劇の映画などで何度も見た事がある筈だ。
中世のヨーロッパでは,銀製で造られ騎士の身分を表す印となっていたそうだ。
嘗ては、馬具屋にいけば、あったそうだが、今では,現実にスパー、拍車を使う事はないので派生的に様々な意味に使われる「言葉」となっている。
舞踊にも,芸術にも、音楽にも,スポーツ、芝居、遊び、仕事にも使われる。
ボクシングのスパーリングは、スペルが違うのでここでは関係ない。
自分を目覚めさす,刺激。直感力を刺激するもの。
好奇心を鼓舞する事。
元気のある者に取っては、正に拍車をかける事。
又,不利な状況を、一転して良い状況に変化させる事。
疲れた時の、一杯のお茶、コーヒー、或いは、一服のタバコ。
旨味を一番感じられる時の楽しみ、それがスパー。
相撲でも、ボクシングでも、野球やサッカーでも、状況が一転して反撃に転じる時、そのスパー次第で、人々は一喜一憂する。
一寸,注意するだけでも、又、気付けば、一見何気ない普通の世界にも、好奇心を刺激することが沢山ある。必要なのは「好奇心」そして、大切なのは「タイミング」。
加えて、タイミングを計る「センス」が必要になる。
タイミングがずれて、拍車を蹴っても、効果がないばかりか下手をすれば失敗する。
状況次第では、墓穴を掘ってしまう。
人は、生まれる前から、母親の身体の中にいた時から、太鼓の音を聞いている。
ハートビート(心臓の音)である。
最も原始的で、魂の奥まで届いている。
一番安心できる、リズムである。
それは、最も深い、魂の母なる大地の波動、原初の波動。
自分で太鼓を叩いてみると、判る事だが、
叩いている者は、いつしか旅人となり、リズムに乗って、トリップして異次元に入り込む。
時には、恍惚となってしまう。
スピリット・ボディーに知らないうちに入り込んでしまうのだ。
一般に、シャーマンやメディスン・マンによれば、スピリット・ボディーに共鳴するのは、一分間に200位の速いビートが、神秘の門を開くのには適切とされているが、個人差はある。
ロックの8ビートで異次元に入れるのは、こんな意味があるのだ。一寸したアドヴェンチュアー。
メトロノームでは音的に味気ないが、自分で試しに太鼓を叩いてみるといい。他の楽器はいらない。太鼓だけで一定のリズムを刻めば良い。パートナーが居たら、異なったリズムをオーヴァーラップさせる事も出来る。複数のリズムを複合させ,共鳴させる。音楽ではよく使う手法である。オフビート、シンコペーションといった技法が現れて来る。恍惚とまでは行かなくとも、異次元という意味は判る筈だ。
ゆっくりとしたドラミングには、それなりの波動と意味がある。太鼓が、創造的な楽器の代表なのである。それが判ると、タイミングの取り方、乗馬でも、サーフィンでも、モーターサイクルでも、タイミングの「妙」という、ある種のセンスが判って来る。間合いとタイミング、それが「スパー」の命とも言える。
「スパー」は、スピリットに反応し、共鳴する。そしてエネルギーが湧いて来るのだ。「能」の面白さもそこにあるかもしれない(前記事「能と世阿弥とドゥンドゥーミ」参照)。