2006年11月20日月曜日

SPUR (スパー、拍車、刺激)


 スパー! いい音だ。サウンズ・グッド! トーンがいい。

 元々の語源は,「馬が蹄で蹴る事」だそうだが、いつしか、馬の腹を小突いて、馬に信号や刺激を伝えるコミュニュケーションの道具となった。

靴の踵の所につけられる回転する歯車の事だ。西部劇の映画などで何度も見た事がある筈だ。

中世のヨーロッパでは,銀製で造られ騎士の身分を表す印となっていたそうだ。

 嘗ては、馬具屋にいけば、あったそうだが、今では,現実にスパー、拍車を使う事はないので派生的に様々な意味に使われる「言葉」となっている。

舞踊にも,芸術にも、音楽にも,スポーツ、芝居、遊び、仕事にも使われる。

ボクシングのスパーリングは、スペルが違うのでここでは関係ない。

自分を目覚めさす,刺激。直感力を刺激するもの。

好奇心を鼓舞する事。

 元気のある者に取っては、正に拍車をかける事。

又,不利な状況を、一転して良い状況に変化させる事。

疲れた時の、一杯のお茶、コーヒー、或いは、一服のタバコ。

旨味を一番感じられる時の楽しみ、それがスパー。

相撲でも、ボクシングでも、野球やサッカーでも、状況が一転して反撃に転じる時、そのスパー次第で、人々は一喜一憂する。

 一寸,注意するだけでも、又、気付けば、一見何気ない普通の世界にも、好奇心を刺激することが沢山ある。必要なのは「好奇心」そして、大切なのは「タイミング」。

加えて、タイミングを計る「センス」が必要になる。

タイミングがずれて、拍車を蹴っても、効果がないばかりか下手をすれば失敗する。

状況次第では、墓穴を掘ってしまう。

 人は、生まれる前から、母親の身体の中にいた時から、太鼓の音を聞いている。

ハートビート(心臓の音)である。

最も原始的で、魂の奥まで届いている。

一番安心できる、リズムである。

それは、最も深い、魂の母なる大地の波動、原初の波動。

 自分で太鼓を叩いてみると、判る事だが、

叩いている者は、いつしか旅人となり、リズムに乗って、トリップして異次元に入り込む。

時には、恍惚となってしまう。

スピリット・ボディーに知らないうちに入り込んでしまうのだ。

 一般に、シャーマンやメディスン・マンによれば、スピリット・ボディーに共鳴するのは、一分間に200位の速いビートが、神秘の門を開くのには適切とされているが、個人差はある。

ロックの8ビートで異次元に入れるのは、こんな意味があるのだ。一寸したアドヴェンチュアー。

 メトロノームでは音的に味気ないが、自分で試しに太鼓を叩いてみるといい。他の楽器はいらない。太鼓だけで一定のリズムを刻めば良い。パートナーが居たら、異なったリズムをオーヴァーラップさせる事も出来る。複数のリズムを複合させ,共鳴させる。音楽ではよく使う手法である。オフビート、シンコペーションといった技法が現れて来る。恍惚とまでは行かなくとも、異次元という意味は判る筈だ。

 ゆっくりとしたドラミングには、それなりの波動と意味がある。太鼓が、創造的な楽器の代表なのである。それが判ると、タイミングの取り方、乗馬でも、サーフィンでも、モーターサイクルでも、タイミングの「妙」という、ある種のセンスが判って来る。間合いとタイミング、それが「スパー」の命とも言える。

 「スパー」は、スピリットに反応し、共鳴する。そしてエネルギーが湧いて来るのだ。「能」の面白さもそこにあるかもしれない(前記事「能と世阿弥とドゥンドゥーミ」参照)。