2006年1月23日月曜日

カフェ・インドシーヌ


此処はラオスのヴィエンチャン。
満月を国旗にしている国の首都である。
メコン河に程近い、柳緑花紅の美しい町並みを歩いていた。
何気ない、人々の動きの中にも、のどかさと寛ぎが滲み出している。

春風駘蕩に浸っているうちに、一寸、レトロなカフェーを見つけた。
日本の大正か昭和の始めの頃の喫茶店みたいだ。
入り口に小さなテラスがあって、なにやら古そうな木の彫刻が壁に飾ってある。
近寄って良く見ると、どうもナーガ(ラオスではナカと呼ぶそうだ)のようだ。
しかも翼があり、両翼を広げている。
少し寸詰まりで、全長はそれほどでもない。
足もまだない。

ラーメンの丼に描かれている、中国式の龍ともフィーリングもニュアンスが違う。
ご面相は、いかにも魔物らしくって魅力がある。
又、ラオス、タイ、カンボジア、はたまたインドのナーガとも一寸、ニュアンスが違う。
その木彫は、古そうで、人の目を捉える、十分な力を持っている。

店の名は、カフェ・インドシーヌと、フランス語で書かれている。
何故フランス語だときずいたかは、インドシーヌの最後の文字がaではなく、eで終わっていること。そしてこの国がかつてフランスの植民地だったこともあるからだ。
インドシーヌと言うトーンは何かエキゾチックで瑞々しい。

山岳民族が作っている、ヒルトライブコーヒーと呼ぶ、アラビカ種の豆は旨い。
隣の国タイでも、少数民族のコーヒーは人気があって、イタリア式のエスプレッソ・マシーンで入れるのが、流行している。
ラオスの場合は、カフェ・ラオと言って、いわゆるターキッシュ・コーヒー。

深入りして挽いた豆を,水から沸かすのだそうだ。
コーヒーの粉が,カップの底に沈殿するのを待って、その上澄みを飲む。
BGMは、スタン・ゲッツとチャーリー・バード。
味もいいが、後味がすっきりしているのが印象的。

ナーガについて,一寸、マインド・ジョグしてみると、仏教、ヒンドゥー世界にまたがって、存在し、頭が七つやら九つやらのものもあって、ヴィシュヌ神や仏教とも深い関わりがある、神秘の魔物である。

一説によると、ゴータマ・ブッダの出身である、シャキャ族(主にネパールに偏在している。)もナーガをトーテムとする、ナーガ族(インドのアッサム地方やナーガランドに偏在している。)の一部族であったらしい。
余談になるが、納豆は、彼等の文化らしい。

余談の延長になるが、ミャンマーやタイにいるシャン族の納豆は旨いそうだ

ナーガは元来、水の神だが、空も飛ぶ。
中南米にもいるし(ケツァコアルトル)、日本から東南アジア、インドそしてギリシャにかけては、
水のスピリット、人々に豊饒を与える神でもあったし、農民、船乗りと言わず。あらゆる人々にとっては、守護神であった。 様々な伝説に、蛇は出てくる。取り分け、創造神話には良く出てくる。
インドやムーでは、七つの頭(チャクラに対応する)を持ったナーガが有名だ。

中国に入ると、龍と呼ばれ、足も翼もついてくる。
この木彫のナカは、足はないが翼がある事から、南アジアから、中国へ伝わっていく、過渡期
の形の一つではないかと想像してしまう。

中国の龍伝説は2500年前にすでに存在していたらしいが、
それ以前の。オーストロネシア(オーストラリアには虹の蛇の伝説がある。)そして南アジア、アフリカにかけては、今とは違った交流があったのではないかと想像をたくましくする。
それとなく、文化の要の一つとして、調べてみるのも、面白い。