2007年1月7日日曜日

亀の国


 亀は創造性に関わる、パワー・アニマルの一つであるのだが,今回は民話をテーマに、マインド・ジョグしてみよう。
これは,ラコタの人々、スー族に伝わっている伝説だ(前記事「ダースベーダーとヴァースデーヴァ」も参照)。

 昔、創造主、グレイト・スピリットが、自らのヴィジョンに従って創った大地を見渡した時、悲惨な思いをした。鉱物も植物も動物も人間も、生きる為の法則、調和の法則(ダルマ)を忘れ、いがみ合っていたのだ。
互いに、エゴイズムに陥り、憎み合い、嫉妬し合い、欲望は限りを知らなかった。

 そこで、耐えかねた創造主は、人が人らしく振る舞わない国を壊して、新しい国を造る事にした。最初に、歌が歌われた。歌が三つ歌われると,大雨になり、四つ目の歌の最中に大地が割れ、世界は水浸しになった。人も,動物も,植物も死んでしまった。

 創造主は,やおら袋を取り出して、その中から、水に潜れる動物を取り出し大地を探そうと考えた。オットセイ、水鳥、ビーバー達は失敗した。唯一、亀だけが水の底から、泥を見つけ出して戻ってきた。創造主は泥を使って、水面に広げ、乾いた大地を創った。「亀」が今でも「大地のシンボル」になっているのは,この伝説に拠るのだそうだ。

 水が全く無くなってしまうのもまずいと,創造主は考え、池、湖,川、そして海を創った。そして、袋から,全ての動物、鳥や虫、植物の種をまいたのだそうだ。そして,赤、白、黄、黒の土(世界中の人種を意味する。インディアン、白人、黄色人種、黒人)から,男と女を創り、知識と言葉を与えた。

 創造主は独り言を言う。「これで、世界を創るのは,三度目だ。人と動物と植物が仲良く暮らさなければ、また壊す」と言って,創造主はその新しい国を「亀の国」と名付けた。「やがては、四番目も創る事になろう」と、付け加えた。

 アメリカ大陸そのものを、先住民は今でも「亀の島」と呼んでいる。其れが何時まで続くのかは、誰にも判らない。

 亀はパワー・アニマルの中でも、創造に関わっている、神の使いにして、地味な大立て者。しかも、長寿の生き物,日本でもインドでも中国でも、鶴と並んで目出たい生き物だ。

 タイにも「亀の島」と呼ぶ、小さな島がある。「コー・タオ」という。ここは、19世紀が生んだ偉大なる先達、ラーマ5世チュラロンコン大王のお気に入りの島。一般的には、世界有数のダイビング・スポットとして有名だ。海岸のすぐ側まで、珊瑚礁が迫っている。
 シュノーケルとフィンさえあれば、そこは別世界。様々な、熱帯の魚、イカ、タコ、小魚がサンゴの間で舞いを舞っている。海亀は勿論、タイマイ、エイ、バラクーダ、沖にでればイルカ、上手くするとジンベイザメも出没する。水の透明度も非常に高く、30m位は見えてしまう。
 食事に関しては、シーフードが好きならば、何の問題も無い。鱸、イカ、鯛、スナッパー、鯵、貝類、何でも旨い。

 1970年代から、何んだかんだでもう10回以上も訪れているが、いつでも寛いで、楽しい時間が過ごせる。不備な点も無い訳ではないが、最近、高速ボートが就航し、本土のチュンポンから2時間でタオ島に到着する。又、今では、インターネットも繋げられ便利になった上に、毎日ダイビング出来るのが、楽しみでもある。空気は当然奇麗、公害が無いので健康には先ず一番良い。夜、空もクリアで月や沢山の星を眺める事が出来る。

 環境が静かで、人々も穏やか、知り合いも沢山できた。他の島のように、らんちき騒ぎをする人もいない。まるで、ヒマラヤにいるみたい。天然の石で、自然に出来た,ブッダの立像そっくりの巨大な岩山がある。その所為か、勉強したり、本を読むにもいい。好きな、魚釣りも出来る。又,行ってみよう。

 創造主次第だが、ここは当分破壊されない様子である。