2007年1月5日金曜日

形が持つ力2(ピタゴラスと三角形)


 瞑想とは「空というステージ」を整え、サイエンス、深層心理、生命力、そして美学を統合するものでもある。
今日はそこで、ピタゴラスと三角形で遊んでみよう。

 ピタゴラスというと、学校で教わったときは、三角法という幾何学、三角形の辺と角との関係を基礎として、三角関数、幾何学図形の量的関係を研究する数学を教わった記憶がある。直角三角形の直角に隣り合う二辺の上に出来る正方形の和は、斜辺の上に出来る正方形の面積に等しい,という奴である。√2(1.4142……)と永遠に続く「無理数」の発見でも有名だ。
紀元前560〜480年頃の、歴史上のギリシャ人として、数学者として有名な人。

 一方で、南イタリアで宗教家としても知られている。その教義は、宇宙の根源は「数」であるとし、数学や天文学の発展に寄与したといわれている。今から考えると、数学だけでは人の感覚や知覚、心,生が欠けているようにも受け取られがちだが、紀元前の当時としては最新の理論、思想であったのだ。
ギリシャという国は、こと論理に関しては、世界のリーダーシップをとってきた。
そして、ピタゴラスは近代科学、数学の分野では世界に貢献した人だ。

 その宗教に因ると、世界を成さしめている根源は「数」であるという。数学者らしい。
一切は、奇数と偶数から成り立っていて、それぞれ異なる性質があり、対立する二つの概念の説明に使われたようだ。
丁度、タントラやタオで言う所の「陰陽」にあたる。
数は万物の根源であり、又、特に10は太陽系の惑星の数として、完全数、聖なる数として崇められていたと言う。

 10の要点を、正三角形のピラミッド型(ボーリングのピンの並ぶ位置)によって宇宙を表すとした。
最初の要点は一個の点に始まり、二つの点で線が出来、三個で平面、四個から、初めて、立体、即ち、三次元が可能となる。
そして空間に10の要点全てが包括されていて、神聖視されたのだと言われる。
ゼロについては、まだまだだったのだろうが、当時としては最新の、地動説をも感じさせる宇宙観である。

 地球の自転と公転についてはかなり古くからあったらしいが、聖書の内容と違うことから、長い間、キリスト教の教会から異説として退けられてきた。暗黒の時代と呼ばれる。
この異説が日の目を浴び始めたのは、コペルニクス的転換というタントラ的な螺旋思想から始まり、コペルニクス、ケプラー、ガリレオへと続いていく。

 音楽を宗教に用いるのは、ヒンドウー教の影響があったのかもしれないが、音楽を使って内面を「和」する概念が、外面的な物質界からより深い内面の世界と向かわせたに違いない。
その延長線上に現れてくるのが、デモクリトスの「原子論」となって行くようだ。

 知る事を通じて足る事を知れば、人生は豊かで楽しい。
数も究めれば,とても不可思議で神秘的。
当時の人を納得させるには十分な力となったと推測される。

 視覚的にも三角形には力がある。
何らかの対象が要求されるが、エネルギーの発生する形と言われる。
対象がなければ,エネルギーは動かないからだ。
今回は、此処の所も少し展開させてみよう。

 一言で言えば、△とは動きを象徴する形。エネルギーの鋭い集中を呼び起こす。△はそれ自体、未だ不完全で何かがかけている。
△は宇宙に気が発して行く働きであり、天と火の性質を併せ持つ。やがて、四角形、多角形へと進み、次第に、円に近づいていく。
 一方、円は完成した形、和して行く働きであり、水の性質を持っている。
円の力を理解し、知った上で、△の力を利用する。
円の柔らかな働きと,三角形の鋭い集中。

 例えば、螺旋はナーガ(龍、蛇)が、カイラス山、メール山を取り巻いて蜷局(とぐろ)を巻くように、一面では△に見えるが、別の面,上から見れば、○、円形になり、円の性質も併せ持つ。そこに、二つの力が融合されている。
そこから、エネルギーの展開、エボリューションが発生する。
どうしても忘れがちになるのだが、基盤として、第三の力、大地、詰まり□の力を忘れてはならない。

(前記事「卍」「形が持つ力」参照)