旅と言われるものの中には、動物の姿を持った、「盟友」に出合う事も重要な旅である。
いずれ、将来、冒険の旅のガイドや先導、アドヴァイスや知恵を授けてくれるかもしれない。
どのカルチュア(文化)に於いても、ある種のアニマルは、その地域の文化の歴史や地理にフィットする、特徴や強さを持っている。
体験的に言うと、鷲、馬、象、ヤク、牛、鹿、鳥、それに犬や、猫と言った動物達と親密であった。
いまでは、世界中の動物達や、イメージ上の動物達とも親密になれる。
その記憶だけでも、何か、途轍もなく素晴らしいものがある。
ヴィジョン・クゥエストであれば、ことさらパワー・アニマルの力が必要になる。
それは、自分の意識の領域を広げる為の下準備だ。
自分に取って、何が不足しているのか、パワー・アニマルは、盟友として、又,自分の潜在力を映し出す鏡として、何よりも重要だ。
私の母親も祖父母も犬をパワー・アニマルとし,愛していた。
又、その事を誇りにしていた節があった。
子供の頃からだから、言葉の通じないものと、コミュニケートするこつは容易に掴めたのだと思う。
動物は何でも良い。自分が期待している動物とは、違うかもしれない。鼠やカワウソかもしれない。モグラやイタチかもしれない。
最初のうちは、文句を言わない事だ。それは、大げさに言えば、神の試練かもしれない。
そのうちに、フィットするパワー・アニマルガ何なのか、次第に判って来る。
自然と繋がる為には,パワー・アニマルの存在は絶対に欠かせない。
スピリットに関して言えば、人間以上に、敏感なのだ。
だが、慌てる事はないのだ。
現在、サウスダコタに巨大な岩を削った彫刻が彫られ続けているが、そのモデル、偉大なスー族の戦士、「クレイジー・ホース」は、一時期、「ミミズ」と呼ばれた事があったそうだ。そのミミズの時代に、「力」の秘密を知ったのだという。
彼が聖者でもあり、無敵の戦士であったのも、ミミズの時代に培われたものなのかもしれない。
先ず、本当の自分、スピリット・ボディーをも知らなければならない。
きめ細かく、対応すれば、より多くのリアルな事が起こって来る。
以前、10年以上も,ヒマラヤに住んでいた事があった。
その時,鷲や馬,ヤク,牛、馬、鹿、鳥、カワウソと言った動物達と親密になった事があった。
そのときの体験程、有意義な事はなかったと思う。
闇を探索し、何か新しい発見を模索する体験こそが,面白いのであって,上げ膳据え膳の文明のなかには、若い心は到底満足等出来ないのだ。
その為には,光りも,そして闇もとても重要なのだ。
闇がなければ,成長はないのだから。
どんな野生の生物でも、自分の師匠にしたり,盟友にする事が出来るのだ。
野生の力を知らない人間は,単に無力だという事を知った。
犬は別にして、私の最初のパワー・アニマルは、馬であった。
夢の中でシヴァ神が馬に乗って現れたのであった。
シヴァは別名、パシュパティ(獣の主)と呼ばれる程,動物を可愛がった神なのは、ごぞんじだろうか?
カトマンドウーには、パシュパティ・ナートという有名なシヴァの寺院がある。
普段は、ナンディーという神牛に乗っている姿が有名だが,馬や駱駝、象にも乗る。見た事はないが、白鳥や鷲にさえ乗る事もあると言われる。
それは,私が、10歳くらいのときだった。
当時、シヴァという神など知る由もなかったが、それは後で判った事だ。
シヴァは天空を駆ける黒い馬に乗っていた。それは,一見普通の黒い馬にみえた。
いずれ、後にその場所を発見するのだが、その馬で、一気に、天空を駆け抜け、在る聖なる場所に連れて行ってくれた。
当時、病弱で、熱ばかり出していた私は、毎晩その夢を続いてみる事ができ、10日もすると、嘗てない程、元気になっていた。馬はそのときから、私の盟友になっていた。
夢と現実とが一つになった。今でもその場所を覚えている。
インドのラジャスターンのある場所とだけ言っておこう。何時か、もう一度,行ってみよう。来年でも行けたらいいな。
未だ知らない,夢の中の場所が、現実に実在していたのだ。
神秘は、現実だったのだ。
最近は、長くタイに居る事も影響して,今では、鷲や馬や鳥や猫の他に、「象」が盟友になってきている。
インド同様に、あちこちで、本物の象に会う事が出来る。
象は、何といっても,百獣の王。
穏やかで、優しく、最も大きく,最も力がある。
どんな猛獣も、象から見れば,ガキ扱い。
向かってくるもの等、居ない。
タイの人にとって、王室のシンボル、「ガルーダ(鷲)」とともに、象はタイの国家的「パワー・アニマル」だ。
しかも、ここバンコック、「クルーン・テープ・マハ・ナコーン(天使の都)」は、シヴァ神の都。
「シヴァ」と言うサンスクリット語の意味は、Benevolent, 善意、慈悲心(愛)、善行を意味する。
それが神格化したものだ。ブッダと根本的に意味に違いはない。技法は少し違うかもしれない。
*注「シヴァ・リンガ」を参照の事。
此処では、シヴァは、「マタンガ(征服者)」という、勝利を象徴する「黄金の聖象」に乗って、雲の上を悠然と歩いている。
元々,インドでは一番高い所にすむ神様だ。文句を言う人は一人も居ない。
インドのイスラム教徒の中にも、シヴァだけは特別という人も居るくらいだ。
悪魔を滅ぼし、地上に平和を確立し,喜びを表す黄色の衣服を纏い、純粋な喜びに暮らす。
タイの人々が,黄色の衣服をつけるのには、そんな深い意味があるのだ。