人はほぼ人生の1/3を眠って過ごす。しかも、その1/4は、多くの場合,夢を見ている。
今日は,夢の話ではなく,夢についての話だ。
人が眠っている時は、新陳代謝の活動はゆっくりとなり、免疫力は高まり、ホルモンは増加傾向にあると言われる。成長ばかりではなく、身体の組織の補修も行われる。人に限らず、生命体というのは、実に良くできている。自然の道理に沿って、身体をコントロールできれば、病気にもならず、薬もいらない。長く健康で居られるし、第一、人生も楽しい。正に、一石二鳥。
死んだら、身体は無くなる訳だから心配はいらないが、少なくとも生きている間は、身体を大切にしよう。身体がある故に,苦も生じるが、楽しみや喜びも身体があるからだ。薬に頼らずに、ぐっすり眠る事ができたら、自律神経もしゃんとしている訳だから、すべて、修復してくれる。薬に頼れば、何らかの偏りが出て、何れ、何処かに不調和が現れてくるのは、必定。
睡眠がうまくいかなくなると、集中力,記憶力も弱体化し、結果的に、怒りっぽく,短気になると言われる。
直感力など何処かへ消えて行ってしまう。
そして、さらに不安要素が増大してしまう。
そうなると、あらゆる歯車が狂い始める。
悪循環はさらなる悪循環を生み、身体にも精神にも変調を来してしまう。
人の健康の要は、そして幸福の要は「熟睡」と「良い夢見」に負っていると言っても過言ではない。全ては,無意識の深みから起こって来る。
夢の世界に入る事は、何事でも起こる世界には入り込む事でもある。
それは,無限の可能性を秘めた、魔法の世界。
夢見るものは,空を飛ぶ事すら出来る。宇宙に飛ぶ事も出来る。
姿が変わり、中空を歩いたり、太陽の海で泳いだり、時にはあらゆる思考を超えた、言語を絶したイマジネーションが現れる。
夢を見ているものには,夢は、日常の現実と同様にリアルなのだ。
夢見る事を通して、スピリットが身体に直に働きかける、それが夢。
それは、夢見るものの、人生と経験に関する、「寓意的な枠組みの様々な情報」に関わる事なのだ。
日常世界も夢見で変わり,日常が変われば,夢見も変化する。
相互依存の関係に在るのだ。
人がより良く生きようとする要のようなものだ。
だから、夢は非常に大切だ。
世界は夢であるといってもいい。よくよく考えてみれば、夢で出来ているのが世界だ。
「全ては夢である。」、とは言っても誤解しないで欲しい。
夢だから、空しいとは,言っていない。
それは、夢次第だ。
過去に於いても、ギリシャ、エーゲ海、ローマ、エジプト、ペルシア、モヘンジョダロ、チグリス・ユーフラテス、ネイティヴ・アメリカン、アボリジニ、ムー大陸、レムリア・・・・。
全ては夢のようだ。
そして究極的には,夢見るものが夢をコントロールする能力を持つ事が可能となる。
それは,自己のパワー,能力、知力にかかって来る。
この魔法の世界に熟達したメディスン・マンやシャーマン達は、現実の世から逃げる訳ではない。
むしろ、積極的に、両者を共に受け入れているのだ。
出入りは自由、そして現実すらも,夢の一部として見る。
夢を通して,人は異次元に入る。人は,それを毎晩のように行っている。
この異次元は、無限の可能性を秘めている。
夢を見ている時,人はその人なりの「聖域」で夢を見るのだ。
人は自分の「聖域」を清める為に,或いは広げる為に、聖地を巡礼したり,瞑想したり、旅をしたりするのだ。それを、瞑想と言ってもいいし、タオ(道)といってもいい。
夢の旅が始まる時、その異次元においては、何が起ころうと、何に出会おうと、心を開いていなくてはならない。
自分の直感力を信じ、その流れとともに行く。
何が会っても、逆らわない事が,先ず大事である。
無理をしない。
人生の生き方にもそれは反映して来る。
夢を変えたいという望みは,現実の何らかの恐怖、痛み,苦痛、怒り、悲しみ、不満が原因だ。
そこで、夢見を変えるこつが、必要になって来る。
肉体的にも、無意識の世界にも,力をつけなければならない。
今回は,夢についての概略についての説明としたい。
安心した夜の眠りは、夢の為の環境創造の必須条件だ。
といっても,ベッドを絢爛豪華に飾り立てる必要はない。
昼間のストレスから解放する為に,寝室の色や光りの具合は,穏やかでソフトな方が良い。
脱いだ衣服や、がらくたで部屋を散らかさない事。
又、眠る数時間前にはカフェイン(お茶やコーヒー)を取らないようにする。
そのかわり,ミルクや、カフェインのないハーブティーに変えれば良い。それを、儀式にしても良い。
入浴時にエッセンシャル・オイル、アロマテラピーに使うオイルを使う。
風呂場の電気を消し,ろうそくにするのもいいアイディアだ。
ラヴェンダー、カモミール、ジャスミン、レモングラス、ロータス、サンダルウッド・・・・・・。
今ではいろいろなものが手に入る。
枕に少し振りかけてもいいし,眠る前に,特に足首,足の裏をオイルでマッサージする。
フット・マッサージはいい。
眠りに入る時、お香があれば,良い導入効果がある。異次元へ容易に繋がり易い。インドやアラビアのものがいい。
要は、眠るものに取って、寛ぎと癒しの天国であれば良い。
アメジスト、紫水晶を枕の下に入れて眠るのは,古代からの伝統だ。
少なくとも,悪夢は避けられる効果がある。
要は、日常の生活を切り離せば良いのだ。
蛇がとぐろをほどくように,身体をリラックスさせる。伸び伸びとさせる。
ただ其れだけで良い。難しくはない。
個人差、男女の違いはあるかもしれないが、自分で見つけなければならない。
出来れば、寝室に,テレビやコンピューターを持ち込まない事。
これだけでも,非常に効果が高い。
必要なら,眠りに入る時、何か儀式を行っても良い。お香はいい儀式になる。
より,眠りに集中出来る。睡眠用に決まったものを使えば、儀式になる。
何時もより,早く眠りに着き,その分,朝早く起きる。
朝のよい目覚めは,夜の熟睡の為の環境を整える。昼間、エネルギーを発散し易くなり,ストレスが貯まりにくくなる。そして、早く眠くなって来る。
ブッダの涅槃仏の姿を御存知だろうか?
右側を下にして,左側を上にして圧力をかけないようにしている。
右利きの人は,特に昼間の活動中、右側の力を主に使うようになる。
そうなると,左側の方は自ずと閉ざしてしまう。
そこで,寝るときは,その分を「解放」してあげるという配慮だ。
左利きの人は,その逆を行えば良い。
仰向けが良ければ、それでも良い。そのときの気分で決めれば良い。
『夢、その3』で説明したように,夢日記を付けるといい。
自分の特徴、特性を知る事が出来るからだ。
これは、瞑想にもなるのだ。
ヨーガの本来の意味は、繋げる事。
英語ならば、ジョイントなのだ。
意識と潜在意識、昼と夜、光りと闇、心と無心、様々な要素を繋ぎ合わせて、トータルにして、健康体にする事なのだ。
好き嫌いは別にして、あらゆるものが存在するのは、必要だからだ。
人工物は別にして、この世に不必要なものは一切ない。
それが、自然という意味である。
人は、どうしても、部分、部分に集中してしまう。
それが、エゴの何たるかだ。
本来、必要なものも、不必要にしてしまう。どうでもいいものを必要にしたりもする。
使う筋肉も、使わない筋肉もある。
使わないからと言って不必要なのではない。
それは、本人の癖だ。
癖から、偏り、アンバランスが生じて来る。
だが、ノー ワリーズ! ノーバディー イズ パーフェクト。
完全な人等、まず居ないというのも事実。だが、調整できるのだ。
* 「自然体」を参照の事。
もし、どうしても眠れないことが起きてしまったら、眠ろうとしない事だ。
それが何であれ、努力は寛ぎを破壊する。逆効果になる。
寛ぐ事の第一は,「無努力」なのだから。
眠る事すら忘れてしまうのがいい。緊張を解きほぐすのだ。
ゆったりとして、起きていれば良い。
いつかは、自然に眠くなってくる。
今回は眠る事が主体になったが、次は,夢見の技法について展開して行こう。