それは,「聖なる輪」のことである。
ストーン.サークルの一つで、象徴的にも,実質的にも、生の基盤となるものだ。
それは、自分と永遠なるものとを結びつける、可能性、パワーを持っている。
ネイティウ・アメリカンの人々は伝統的に生命の形は,周りを取り囲む大きな一つのものから生じて来ると、見ている。
何千年もの体験の証でもある。
それは今でも、現実に使われている。
メディスン・ホイールは人が造ったものだが、グレイト・スピリット、「永遠なるもの」と繋がる英知が秘められている。
在る意味で、神殿の役割をするが、神殿以上にパワーフルでダイレクト、そして飾りがなく、シンプルだ。判り易い。
全ての,生命あるもの、植物、動物、人間、石や岩も、宇宙という大きな融合体の一部分と考える。
人生のスピリチュアルな意味での「織物」(Web)は動物、植物、人、ストーン(石、岩)、水、空、風と大地を一つに織り込んで行く「タペストリー」(つづれ織り)のようだ。
一寸、キャロル・キングの歌を思い出してしまう(「タペストリー」と言う名曲があった)。
最も、今風な「アップ・トウー・デイト」な考え方だ。
目覚めた人(ブッダ)は、全てのものにスピリットを感じる。
スピリットとは、大きな世界と繋がる為の、目には見えないエッセンスでもある。
「ハイヤー.セルフ」と言ってもいい。
スピリットは共にあり,スピリットと調和して生きて行く。
時には歩き,時には昇り下りし、時には寛ぎ、時には泳ぎ、時には走り、時には安らぐ。
ネイティヴ・アメリカンの人々にとって、最も重要なものの一つが、「メディスン・ホイール」である。それは瞑想を高める為の、そして、広大な宇宙への扉でもあった。
「メディスン・ホイール」は、世界、宇宙を包み込む魔法の輪。
この輪の中に入る時、人は、自分の外側に、そして内側にあらゆる神秘を体験する事ができる。
勇気と忍耐が不可欠だが、「自分を知る」という事も可能なのだ。
自分とは何か? 私とは何か?
そこに来て、初めて、生の素晴らしさが体験できるというものだ。
この「輪」から外れる事は、生命のリズムから外れ、成長を止めたり健康を害したりもする事を、彼らは知っているのだ。
人生に取って、最も重要な意味があったのだ。
基本的に、メディスン・ホイールは、「○と+」を組み合わせた、シンプルな普遍的なデザイン。
全ては円形に造られる。円は真理を表す。それが基盤となるのは、仏教と同じ。
それなしでは、生は歪んで、中心を失ってしまう。
ストーン・サークル同様に、「力」の在る場所が選ばれるのは、当然だ。
それはメディスン・マンが決める。
彼らの、「バッドランド(Badland, 理想郷)」には沢山の「魔法の輪」が造られている。
それらはスイート・スポット、「力のある場所」なのだ。
勿論、鈍感な人には判らない。
内なる視力も、耳の光りも、ハートも目覚めていないからだ。
後からやってきた、白人達は、その鈍感な人々だった。
それゆえ、ネイティヴ・アメリカンの聖域を「バッドランド(荒れ地、最悪の土地、地獄)」と呼んだらしい。
今では,バッドランドは聖地という意味に変わりつつあるという。少しは目が覚めてきたのかな?
それは、地球と地球上にある「全ての生命が、魔法の輪の一部」である事を、部族全員に認識させる為でもあったと思う。
実に、高度なスピリチュアルな宗教観なのだ。
そのマークは、占星術(アストロジー)では、「地球」を表し,ヒンドウー・タントラに於いては、第一番目の大地のチャクラを意味する。それは、七つのチャクラの基盤となるチャクラとなる。
日本では,島津家の紋所ともなっている。
以前に乗っていた、イタリアの「ランチア」(Lancia)という自動車のマークにもなっている。
モーターサイクルでは、同じくイタリア製だが、以前乗っていた初期の「ドウカティ」(Ducati)のマークもそのヴァリエーションだ。
スピリットを表す横軸が、翼になっていたのだ。
予言で有名になった、「ホピ族」のシンボル・マークも、この「魔法の輪」のヴァリエーションだ。
大きな○の内側の四つのスペースに、それぞれ○が描かれているものだ。
外側の○を入れると、計五つの○がある。
鳥居 礼という人の書かれた、「言霊(ワード・スピリット)」によると、「古代ホツマ文字」の事が詳しく書かれている。
それは、漢字が入ってくる前の,純粋な日本の言葉、大和言葉の事をさす。
それに依ると、「○に+」を合わせた印は「ナ」と発音する文字だったらしい。
古代の日本では、メディスン・ホイールの形は「ナ」という文字だったのだ。
天の御中主(アメノミナカヌシ)の「ナ」である。ナカは、「ナのちから」、中心という意味だ。
又、数字の七にも当たる。七は、又、人のチャクラの数を表している。
サークルの中に,十文字のクロスがある。四方向を示す十文字は、基本であって、六本、八本、十本、時に、十二本の場合もある。
日本のパスポートに描かれている、菊の紋は16の花弁を持っている。これも、メディスン・ホイールのデザインの一つと見る事も出来る。
4の倍数にして、黄金比率の数値、1、618に近い、即ち、φ(ファイ)をも表す。
巻貝(シャンカ)の螺旋を思い出してしまう。
タントラでは、菊が蓮の花に変わり、16の花弁となれば、ヴィシュッダ・チャクラ、純粋性、浄化を表すチャクラで、喉の近くにあるセンサー・ポイント。
イスラムのアッラーにも近い。アッラーは頸動脈よりも近くに居る、という事がよく言われるからだ。いろいろな所で、世界はオーヴァーラップしているものだ。
メディスン・ホイールには、ヒンドウー・タントラのチャクラと同様に、沢山のヴァリエーションがある。
南北の縦軸は「生命」を表し,東西の横軸は「スピリット」を表すという。
それぞれ、父なる空(ファーザー・スカイ),母なる大地(マザー・アース)をも意味するという。
タントラに於ける、男性原理(シヴァ)と女性原理(シャクティ)の融合と同じような考え方だ。
四つのポイント、四つのスペースは、四季を表し、四つの方角、四つのエレメント(風、火、水、地)をも表す。
それらは全て,外側のサークル(世界の代表,或いは象徴)の内側に在る。
中心には○、輪を造る。それが、命の輪となる。
それは、五番目のエレメント、空、中心を意味する。
或いは、中心に力のあるもの、特別な石や、パワーのあるクリスタル、動物の骨や、野牛や鹿の頭蓋骨でもいい。
火を焚く場合もあるという。
東の方角は,光り、インスピレーション、新しいアイディア、を表し、
南は、循環性の強化、魔法の輪の力が強くなる、喜びの時、楽しむ時を表す。
西は、学びや気付きが深まり、内省に入り、痛みや苦を知る所。
同時に、収穫や努力の成果が実る方角でもある。
北は英知の方角、力をつける方角。回復の力や反射を意味するという。
部族や地域によって、多少その意味は異なって来る。
人が生まれる時は、東にあると言われる。太陽が昇る方角だ。
普通は東から始め,南、西、北へと進むそうだ。
仏教徒は、聖なる場所を右回りに、つまり時計回りに回る。
だが、ボン教徒やイスラム教徒は、左回りに、時計の動きと逆方向に回る。
両方やってみるといい。
北半球においては、右回りは天に昇り、左回りは地に下りるという事になるそうだ。
北半球と南では、螺旋も、渦潮も方角が違うのだという。
面白いね〜。
やがて長い旅が終わり,自分に取っての何らかの成果が上がり、シェイプした自分(観念や思い込みを落とした自己)、広がった意識に気がつく時、ホイールの中心に居る事に気付くのだ。
そこは,宇宙の中心。
人はその時、天地の間に立っている。
それは、ヒマラヤのカイラス山や、メッカのカーバ神殿に相当する。
人は,そこで初めて「生という車輪」を自分のものとし、その永遠に変化し続ける事と調和して行くようになる。禅に於ける、「悟り」の状況となる。
メディスン・ホイール、「聖なる力の輪」は、何か新しい事を始める時のアドヴァイスが欲しい時、又、集中力が欠けて,修復したい時、力やスピリットをもらいたい時、実質的な助けになる。
力も、安らぎも、癒しも与えてくれる。
そこにくれば、自分のエネルギーも活性化し、力をものにする事ができる。
いろいろな位置に立ってみると、微妙に感じられる何かがある。
方角、自然界のパワー、タイミングを計る事。
特に、在る方角、在る時期、ある要素や磁力を強く感じた時、メディスン・ホイールは答えを出しているのだ。
タントラに限らずとも、「力」とは男性エネルギーと女性エネルギーとの融合から生じて来るのだ。
「魔法の輪」の体験は、何気ない普通の物事にも美しい側面を見附たり、新たな価値観が現れ、さらにそれに伴って、心も開いて行く事になり,あらゆる方向に、光りを見いだす事ができるようになる。
可能性が広がって行く。生の喜びを知る時だ。
部屋の片隅の小奇麗な場所にでも、気に入った小さな小石を集めてきて,メディスン・ホイールを造ってみれば、そこはいい瞑想空間に早変わりする。
中心にパワーのある水晶を置くといい。
最初に場所、そして石を煙りで清めるのが、本筋だ。お香でも、煙草でも良い。