タイから国境を越えマレーシアに入り、入国手続きをしている時、珍しいものに出会った。
恐らく1950年代後期から60年代初期にかけての、ホンダのスーパー・カブ。
私が最初に乗ったバイクも、スーパー・カブだった。
そのカブは、とても奇麗にして乗られている。
暫く前にバンコクで一番初期の日産のブルーバードを見たのだが、その車も奇麗にして乗っていた。
二台とも、それがオーナーの自慢なのだろう。
時々,引っ張りだしては、自慢げに見せびらかして歩く。
別に悪い趣味じゃない。好きな人には,嬉しいものだ。
そのスーパー・カブは左側にブレーキが付いていた。
まるで、昔の欧米のバイクみたい。
初期型の三速のオートクラッチ付きのモデル。
慣れないとクラッチが繋がる時、ショックが大きいのだが、慣れて来るとスムースにクラッチ操作ができるようになる。
昔を思い出してしまった。
当然、50ccの筈。
今、アジアで売られているモペットは、大抵が100ccになっている。
100cc以下だと、免許がいらないからだ。
そこに、多いときは3〜4人で乗ってしまう。違法ではない。
どこの国でも、めちゃくちゃ沢山売れている。
男性女性を問わず、若者から年寄りまでバイクに乗りたがる。
暑い国では、バイクは「風を生み」、何といっても、気持ちがいい。
足の土踏まずの所は、ステップを踏むので、指圧効果もあり,健康にも良い。
燃費もかからず、自由に何処でもいけるからだ。
国境だって超えられる。
アジアでは、60過ぎの、爺ちゃんや婆ちゃんでも乗っている。
色は、見た事のない藤色と小豆色の中間見たいな色なので、オリジナルかどうかは判らない。
ましてや,左ブレーキの輸出モデル。
チエンケースも付いている。
最近のバイクには、スポーツ指向なのかどうかは判らないが、チエンケースがハーフのものしか見られなくなってきたが、フル・チエンケースは有り難い。
チエンも汚れず、痛まず、オイルも切れにくい。
ハーレーみたいに、カーボン繊維のはいったラバーのベルトだと、もっといい。
油がいらなくなるので、チエンの油で足下やバイクが汚れなくて済む。
マフラーも静かで、現行のモデルのマフラーを流用したのかもしれない。オリジナルのマフラーは,当然、ぼろぼろになっている筈。
コロコロと静かないい音をしていた。昔の音だ。
ライダーのおじさんも自慢げにしていた。いろいろと声かけられるのが,嬉しいんだね。
きっと,カブも照れくさがっている。
ものを大事にするってことは、いいね。ただそれだけといっても結構大変だが、いろいろな楽しみ方があるものだ。