クールに燃える夕日が、水平線を魔法の色に染める時、風が動き出す。 風は目に見えない。だが、感じる事は出来る。形なきもの。それは、宇宙の息。
波の音が甘美に、魔法の世界へと誘う。巻貝を耳に当てると、風の歌が聞こえて来る。それは宇宙の声。
染み渡るガムランの響き、波の音は宇宙の鼓動。日焼けした肌に風を感じる時、自分が蘇る。生き生きとしてくる。身体に力があふれて来る。
風を抱きしめようとしても、風は捕まらない。風は体を通り抜けていく。
魔法の扉が開いてしまった。
風は成った。