ヤントラとは何だろう?
普通、神秘図形と訳されている。
ヤントラとは、宇宙、宇宙の様子を表した瞑想用の図形である。
ヤントラは、瞑想に長けた人が、容易に潜在意識に辿り着くための、「マインド・マップ」なのだ。
瞑想者は、ヤントラに瞑想する事で、解放と目覚め、そして豊かさを手に入れる
ヤントラには沢山の種類がある。
タントラ・ラージャ・タントラという文献によれば、960もの種類があるそうだ。
実際には、無限の数のヤントラが開発されているに違いない。
仏教においては、神秘図形はマンダラ(円)として知られている。
マンダラを通じて、神仏を呼び寄せる道具である。
一方、ヤントラは、ヒンドウー世界において、神霊の身体、依り代とされている。
ともに、瞑想用である事には変わりはない。
ここに紹介するのは、最も有名で重要な、しかも複雑な姿のヤントラで、『シュリ・ヤントラ』、或は、『シュリ・チャクラ』と呼ばれるものである。
別名、Wheel of Fortune. 幸運の車輪.と言われている。
インドやネパールでは、よく、普通の家庭や会社などでもよく見られるが、70年代には、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア辺りでも良く見かけられた。
もう、とうに浸透している。
最近、タイでもTシャツなどにデザインされているのをたまに見る事がある。
何といっても、南インド、タミール・ナドウーにある、マドライの1000本柱の寺院の天井に描かれているのが有名。
意味は,吉祥のヤントラ、或は吉祥のチャクラ。
仕事を持っている人にとって、縁起の良いものの、最右翼とされている。
いつ頃、作られたのかは判っていないが、8世紀の頃、既に使われていたという記述が、詩集、『サウンダリア・ラハリ(美しき波動)』に残っている。
サウンダリアはサンスクリット語で、「波動」の意味。英語のサウンドの語源に成っている。
つまり、波動原理の代表選手のようなヤントラである。
シュリ・ヤントラは、物質(肉体)へのスピリットの降下を意図したものである。
それは、原初の暗闇から現れる宇宙の現れである。
ヤントラの中心に『ビンドウー』(Bindu)、即ち,ドット、点が一つある。
中心点、ビンドウーは,至福に満ちた、無次元を象徴するポイントである。
その周りに、九つの交錯して織り込まれた三角形がある。
下向きの五つの三角形は、シャクティ(女性原理)を表し、上向きの四つの三角形はシヴァを表している。宇宙の縮図である。
シヴァとシャクティは不可分の一体性にあり,分離はあり得ない。
シュリ・チャクラはミクロ・コスモスであり。又マクロでもある。
九つのエレメントは人の身体を表し、シヴァとシャクティのエナジーの親密な、相互作用によってエネルギーが作られると言う。
チャクラ全体は、聖なる一体のペア、シヴァ・シャクティーを表し、瞑想に於ける、世界の夜明けの喜びに満ちあふれている。
暫く見ているうちに、やがて潜在意識と繋がり、その力を垣間観る事が出来る。
毎日、30分でも観る習慣をつけたら、やがて、瞑想に成っていく。
このヤントラのマントラ(呪文)は、HRIM, フリム。
マントラの言霊は、意識の変化を助長する。
Hはシヴァを意味し、Rはその自然体、Iは超越的なヴィジョン、Mは鼻音、つまり、ヴィジョンを強める音。とされる。
このマントラと、ヤントラとが鍵となって、内なる宇宙のドアを開くと言われる。
マントラ、ヤントラがタントラとなっていく。
もう一つマントラがあって、豊穣の女神、吉祥天(シュリー、ラクシュミ)のマントラである。シュリーと呼ばれるように、このヤントラは吉祥天をも表している。
オーン シャリーン ハリーン カリーン ハリーン シュリ・マハラクシュメイヤ ナマー.