先日、家の近くで蛇をみた。
蛇と言っても、ただの蛇じゃない。ここは、熱帯なので、面白い虫や変な虫も多い。
家の近くには森があり、運河もあって、コブラこそいないが、小さな蛇はよく見かける。
毒蛇とか、凶暴なのとかは別にすれば、別に、蛇は好きでも嫌いでもない。
そいつは(彼か彼女かは判らないが)、家の近くの下水の穴から首を出していた。
丁度、潜望鏡のようだ。鎌首をもたげ、辺りを眺めている。
その日は、ピーカンの上天気、さぞ眩しいことだろう。
サングラスを貸してあげたいくらいだ。
きっと、長い間、闇の中に暮らしていたんだ。
見ているものは私だけ。勿論、静かに、息を潜めるように、眺めていた。
安心したのか、そろそろと、体を蛇行させながら、地表にあらわし始めた。
そいつは、ニシキヘビだった。
頭の直径(左右)5cm程もある。段々と、太い胴が出てきた。直径、10cmはありそうだ。
眩しさなのか、動きがスローだ。それとも今まで、寝てたんじゃないの?
私と蛇との距離は50cmくらい。しゃがみこんで、そいつに付き合っていた。
危険な感じは、全くなかったし、蛇君のほうもきっと始めてのところなので、少しおどおどしていたみたい。 結構、かわいい。
全身が、表に現れていないので、なんともいえないが、4-5mくらいはありそう。
そのうち、しゃがみこんでいる私と蛇に気づいた、近所の人たちが三々五々と回りを取り囲むようになった。私が、口に指をあて、シーッと言ったので、みな静かにニコニコしながら、蛇君を眺めていた。
過激な人が多い国なら、棍棒かなんかで、首の後ろを一撃ってところかも知れないが、さすがタイ国、大人の国。 ヒンドゥー、仏教国。
ここでは、蛇は、水の神、生命力や意識の神さまでもあるのだ。
そのうち、蛇のほうも、辺りの様子にきずき始めて、「御呼びでない」と思ったんだろう。
7~80cm出していた体をゆっくりと、少しずつ、逆流させて、再び穴の中に隠れてしまった。
ほぼ、2-3分の沈黙だったが、いい時間だった。
人々のおしゃべりが、始まった。
2006年7月16日日曜日
蛇ーン。
時刻: 17:01