2006年7月12日水曜日

イン ザ ガーデン(ある庭園にて)



 何か、不思議なものを見てしまった。鉄で出来た、オブジェだ。
人工物だが、周囲の自然を引き立てている。
しかもよりディープに全体を引き締めている。
人の足を、止めてしまうくらいの力をもっている。

 時は、ことしの五月、新緑とさつきの花が生き生きとしていて、素晴らしい。
どこの庭かって?
アジアもアジア、日本の真ん中、東京のど真ん中にある。
新宿、副都心にある「都庁」の庭にある。

 説明も、解説も、作者の名前もない。
ただ、それは、そこにある だけ。
丸い、中央部分がへこんだ球形。
表面はさびているが、鮮やかな切れ目模様が入っている。
球形なのに、シャープな波動が伝わってくる。
妙に安定感があって、そこから安心感も伝わってくる。
その存在感とひとつになる。

 ちょうど、用事もあって、都庁の近くにしばらく出入りしていたので、その度に、この庭に立ち寄って、楽しむことにしていた。
このあたり周辺は、道も広く、そして、空いている。
交通ラッシュ何てまるで嘘みたい。

 時には、フェラーリ、ドゥカティ、ランボルギーニといった、スーパー・カーやスーパー・バイクが何台かまとまって、いい音を静かに響かせながら、ゆっくりと流している。
何も、飛ばすことばっかりが、面白いわけでもないだろう。
ここの庭園の波動のせいかもしれない。

 ここは、都会のオアシスだ。
お茶でも飲めるといいんだが・・・・・、と思いつつ、タバコを取り出して,ジッポのライターに火をつける。

 いつしか、いつもの精神状態が治まり、時がゆっくりと流れていくようになってきた。
思考は止み、波動に身をゆだねているうちに、オブジェが、無言のうちに、語り始める用に感じられ始める。
 
 静かな、小さな声で・・・・・・。