2007年2月4日日曜日

雲上の渓谷

 時には一人になってみるのは善い事だ。植物は、夜、生長するという。人が一人になった時、成長が始まる。

 一日のうちで大切なのは、夜の眠りだ。
深い眠りには、若返りの力がある。
熟睡しているとき、無意識ではあるものの、人は存在に近い所にいると言われる。
外界の疲労は此処で取り去られる。
傷さえもいやされる。
存在のシャワーを浴びたかの様になる。

 熟睡できた翌朝は、取り分け素晴らしいものになる。
朝、目覚めた時、まだ存在の近くにいる。
やがて、外界がやって来て乗っ取ってしまう迄の、暫くの間、極上の時間となる。
外界は未だ始まっていない。
此処は、チェンラーイの山の中。雲上の渓谷。
緑の魔境だ。

 鳥が歌い、涼やかな風が吹き、太陽が山の間から顔を出そうとしている。
濡れた大地と森の薫り、樹々は花を咲かせ、マンゴーは実っている。
深く眠っていたとき、無意識だったが、内なる中心の直ぐ側にいた。
新たな通路が繋がり,新鮮な知覚が目を覚ます。

 喜びには二種類ある。一つは誰でも知っている。
何らかの対象がある喜びだ。何らかの原因がある。
家の事,仕事の事,家族の事,お金が儲かった事,試験に合格した事、色々ある。

 もう一つの喜び,此の喜びには原因が無い。
無因の喜びだ。何の理由も無く,嬉しさがこみ上げて来る。
此の喜びは大きい。全てが良い。

Sound mind in a sound body!