2006年9月4日月曜日

くろ


 私の知り合いに、くろという名の犬がいる。
犬だから、友人という訳にもいかないし、友犬と言うのも何か変だ。
くろと言う名は、私が勝手につけた。
全身、真っ黒だからだ。
黒くて、足も太く、体もがっちりしていて、しかも精悍で格好いい。

 黒とは、闇ではない。
闇とは、光の不在にすぎない。
くろは色の一つ、光を最も多く吸収し、視覚に刺激を与えにくい、穏やかな色。
そこに、黒の個性がある。黒にしかない輝きがある。
静けさと深みがあるからかもしれない。

 くろに会えば、眼と眼を合わせて、無言でわかり合える。
波動が通じてしまう。全ては、了解される。
そばに行けば。体をすり寄せてくる。
べたべたする訳ではないが、愛想がいい。
他の犬や猫達も可愛がっている。
だから、くろのいる近くには、いがみ合いが少ない。

 人とも勿論、折り合いがよい。彼は、あるがままにボーダーレスだ。

 彼はヨーガの達人でもある。
ただ、自然であるだけなんだが・・・・・。
暑いときには、木陰のコンクリートの冷えて冷たそうな所に、腹をペッタリ付けて、腹這いになったり、よくストレッチもやっている。

 別に誰かに教わった訳ではなくとも、どうやったら、気分よく、ハイになれるかを知っている。
何が、幸せかを知っている。